写真家・大西暢夫が表情と心を撮る。
ハートネットTV▽ひとりひとりに向き合って~写真家・大西暢夫が撮る精神科病棟~が2019年1月29日(火)
20:00~20:30 NHKEテレ1東京にて放送されます。
精神科病棟の入院患者たちを撮影する写真家・大西暢夫さん。狙うのは「病気の○○さん」ではなく、その人本来の姿や表情。患者たちの豊かな人間性に迫る撮影の日々を追った!
写真家・大西暢夫さん(50)は、18年前から全国の精神科病棟の入院患者を撮影している。統合失調症などの患者の、生き生きとした表情やありのままの生活を収めた写真の数々。撮影では一人一人に声をかけ、会話をしながらシャッターを切る。病気について聞くことは少ない。最後まで病名を知らない人もいる。「病気の○○さんではなく、その人本来の人間らしい姿や表情をとらえたい」とシャッターを切る大西さんの日々を追った。
《写真家…大西暢夫》
写真家でもあり映画監督でもある。
1968年東京生まれ。岐阜県揖斐郡池田町で育つ。
東京綜合写真専門学校卒業後、写真家の本橋成一さんに師事。アシスタントをするあいまに、ダムに沈む岐阜県徳山村の取材を独自に開始する。
独立後も今に至るまで全国を巡りダムに沈む村を追い続けている。そのほか精神病院閉鎖病棟、東日本大震災被災地、糸を紡ぐ長野のおばあちゃん。いずれも終わりのない長期取材を続けている。
著書に「ひとりひとりの人」「糸に染まる季節」「津波の夜に 3.11の記憶」など
ー以下はNHK公式ページからー
写真家・大西暢夫さん。精神科の撮影を始めて、今年で18年。出会った人は、数万人にものぼります。大西さんが狙うのは、その人ならではの人間らしさ。
撮影のとき、大西さんはちょっとしたやりとりや世間話を、とても大切にしています。何気ない会話の中から、人柄や背景を知り、その人らしい姿を映したいと考えています。
大西さんが、精神科の撮影を始めたきっかけは、専門誌での連載でした。「自分も精神科の中にやっぱり入ってみたいという、やっぱりカメラマンとしても中へ入ってみたいという、その緊張感とか、そういうのはやっぱり持っていたので、それからすぐに行くことになったんですね。それがきっかけです。精神科看護という月刊誌なんですが。今までの写真というのはこういう傾向でやってきたんだというのを見せられたんですが、そのときの写真というのが、まぁはっきりいうと面白くなかったというか、いわゆるその患者さんが映ってないんですね。斜め45度後ろからとか、後ろ姿とか。そういう写真が医療現場の中の背景としてちょっと写ってますけれども、まともに患者さんがドーンと目の前に写っているというのは、もう僕の記憶ではほとんどなかったと思います。患者さんってどういう人だ!患者さんの写真撮っていいですか?って。」(大西さん)
しかし、精神科病棟で出会った人たちは、イメージとは大きくかけ離れていました。ひとりひとりが、個性的で、人間らしい人たち。夢中でシャッターを切るようになりました。「決して暗い場所じゃないってことですね。やっぱりみんな生活してるので、眉間にシワを寄せてずっと生活してるわけではないですから。で、その中でやっぱり当然笑いがあっておいしい食べ物食べていたりとかっていうことって当たり前のようにあるんですけれども。たまたま統合失調症という病名はついてますけど、それよりもこの人がなにをやってきたとか、こういう人だとかということに、はぁーって感心しながら面白く聞いていると、彼らの病気というのが、そんな大事なことではない。」(大西さん)