ダーウィンが来た!「世界でも奈良だけ! 野生のシカ 古都に生きる」 2019年5月19日(日)19:30~20:00 NHK総合1・東京 にて放送!
シカたちが暮らすのは、春日大社や東大寺が建ち並ぶ奈良公園の一角。現在千頭以上が暮らしている。これほどの数が街なかで暮らしている例は、世界的にも極めてまれ。千年以上も昔から「神の使い」として人々から大切にされ、国の天然記念物にも指定されている。一見穏やかなシカたちだが、その生活に密着してみると、野生動物ならではのたくましさに満ちていた。春から夏、奈良のシカたちの知られざる姿に迫る。歌:MISIA
和久田麻由子,龍田直樹,豊嶋真千子,山田孝之,水瀬いのり
《奈良公園》
奈良県立都市公園 奈良公園 | |
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奈良公園(猿沢池)
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分類 | 都市公園 |
所在地 |
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面積 | 502ha |
開園 | 1880年 |
運営者 | 奈良県 |
公式サイト | 奈良公園 |
公園内の大部分は芝生に覆われ、約1200頭に上る鹿が徘遊する。この鹿は奈良公園や周辺に生息する、国の天然記念物に指定されている野生動物である(=所有者はいない)。 ただし、奈良地裁の判例から言えば、人の手により角切りや餌付けをされている「奈良のシカ」は無主物ではなく春日大社の占有者であり、野生のシカとは区別されている。
鹿は奈良の観光資源の一つでマスコット的存在であり、様々な鹿を意匠した土産物の販売や、1671年(寛文11年)に危険防止と樹木の保護のために始まった伝統行事の「鹿の角切り」や、ホルンで鹿を集め餌をやる「鹿寄せ」というイベントも行われている。また奈良公園の鹿は餌をもらう際にお辞儀をすることでも著名である。奈良公園の独特の植物の景観を作る働きもしている。
基本的には餌付けされていない野生による繁殖にもかかわらず、個体数を増やしていった。しかし、明治維新からは手厚い保護への反発から、戦中から戦後しばらくの間は食糧確保のため狩られ、その結果頭数が二桁まで激減した。その後は奈良市が「財団法人 奈良の鹿愛護会」を作り、保護に努め、その結果今日の生息数に至っている。この鹿は野生鹿として国の天然記念物に定められ、域内での無許可での捕獲や傷痍行為が罰則をともなって禁止されている。
交通アクセス
鉄道
自動車編集
- 名阪国道天理インターチェンジから国道169号を北へ9km。
- 第二阪奈有料道路宝来ランプから大宮通りを東へ6km。
- 京奈和自動車道木津インターチェンジから国道24号(奈良方面) – 国道369号で10km。
なお、奈良公園周辺では行楽シーズンの交通渋滞の常態化が問題になっており、観光バス抑制のため奈良公園へのアクセスに利用されてきた奈良県営大仏殿前駐車場は2019年春に廃止されることになった。
奈良公園の鹿についての諸問題
乗用車の普及や幹線道路の整備に伴い、車と鹿の衝突・接触事故が多発しており、奈良公園界隈の道路では、常に鹿の飛び出しに注意を払う必要がある。「鹿の飛び出し注意」という交通標識まで存在する。
本来、鹿は警戒心の非常に強い動物で、野生の鹿が人に近づくことは少ないが、奈良の鹿は神格化されたために手厚い保護を受けた影響もあり人を恐れない。但し、5月から7月の出産期、9月から11月の発情期には気が荒くなっているので注意が必要である。
奈良公園周辺では、鹿が道路を横断して交通を妨げたり、付近の家や敷地に入り込む光景がしばしば見られる。隣接する奈良県庁の庭や、稀に近鉄奈良駅やJR奈良駅周辺にも出没することがある。過去にはJRの踏切で鹿が電車にはねられたこともある。
奈良の鹿については愛護団体である「奈良の鹿愛護会」が毎年調査しており、2008年発表の調査によれば、全1128頭(前年比33頭減)、内オス262頭、メス695頭、仔鹿171頭である(暫定)。
死亡原因は疾病174頭、交通事故71頭、犬18頭等となっている。最近では、「奈良の鹿愛護会」の財源不足が深刻であり、観光客に鹿せんべいの購入を積極的に勧めるなどの活動をしているが、根本的な解決には至っていないのが現状となっている。
その一方で、近在の農地を荒らし、農作物の食害の被害が依然として発生している。「奈良市鹿害阻止農家組合」 の県知事への要望書によれば、「公園周辺、公園から遠く離れた地域にも出没し、野菜、水稲、植木・苗木等を食い荒らし、フェンスや海苔網の鹿を傷つけない柵での対応では被害が減らず、長年にわたり鹿との戦いで組合員の高齢化にもよりたいへん疲れはてております」という。「共生できる理想と思われる」700-800頭まで数を減らすことも含め、被害補償などへの要望が出されている。
米ヌカと小麦粉で作られた鹿用のせんべい。砂糖も塩も入っておらず、シカにとって安全なおやつ。
材料と味 (人間が食べても害はない?)
せんべいの材料は米ぬかと小麦粉のみで、米ぬかは焦げないよう油の浮いていない新しいものを用いる。材料的には人間が食べても害はないが、あくまでも鹿の餌であるため、味付けもされておらず、保存料等の食品添加物も入っていない。また消費期限も設けていないため、人間は食べない方が無難である。ちなみに人間が食べた場合の味は、製造所における焼きたてのせんべいは香ばしく甘みを感じておいしいが、それ以上の味はなく飲み込みにくいといわれる。また口の中にぬかの粒が残って後味が悪いともいう。
人間にとっては、美味しい”おやつ”ではないらしい。
奈良公園の鹿は野生動物であり、鹿せんべいで飼育されている訳ではない。主食は芝を始めとする植物である。愛護会の獣医師によれば、鹿が1日に食べる草は約5キログラムで、栄養価が高いとはいえ1枚3~4グラムのせんべいは何十枚食べても「おやつのようなもの」だという。
「鹿は販売所を襲わない」という伝説
「奈良の鹿は鹿せんべいの販売所を襲わない」という噂について、実際には『襲います!』 愛護会や販売員の証言によれば、実際には観光客が少ない時の鹿は販売所のせんべいを奪いとる隙をうかがっており、経験の浅い販売員が特に狙われやすいという。
逆に観光客が多い日には、午後には鹿せんべいを渡しても口にしないこともある。販売員は手を打ち鳴らしたり「口で言って聞かせる」ことで、販売所のせんべいを直接食べないよう鹿を「教育」している。また割れて商品にならないせんべいを与える販売員もあるという。いずれにせよ野生動物である鹿は販売所を襲いうるものであり、良好に見える共栄関係は販売員の努力によって、鹿がせんべいを平和裏に獲得する方法を理解した結果である。
ちなみに「鹿せんべい」は奈良の鹿愛護会の登録商標で、奈良の鹿愛護会の証紙がないものは「鹿せんべい」とは言えないらしい。
鹿せんべい
鹿せんべいの売上の一部は、「鹿の角切り」や「妊娠した鹿の保護」、事故を減らす為のパンフレットなどに使われているらしい。
《奈良の鹿愛護会》
皆様からお寄せいただいた寄付や会員費は、私たちが取り組んでいる「奈良のシカ」保護活動に活用させていただきます。
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イベントご招待やオリジナルグッズなどの会員特典をご用意しております。 -
「奈良の鹿愛護会」では、さまざまな形でのご寄付を募っています。
ご寄付は会費と違い、特に決まった額や期限等はありません。 -
「奈良の鹿愛護会」が制作するオリジナルグッズをご購入頂き、そちらの売上を寄付とさせて頂きます。
「奈良のシカ」の角やステッカーなどをご用意しております。