『レビー小体型認知症』症状具体例!
きょうの健康 4つの認知症 こう治療する▽“幻視”が特徴 レビー小体型認知症が2019年4月17日(水)
20:30~20:45 NHKEテレ1東京にて放送されます。
誰もいないのに「部屋の中に人がいる」などと言う幻視を起こしたり、寝ているときに大声を出したりする「レビー小体型認知症」。薬による治療や幻視を減らす対策を伝える。
誰もいないのに「部屋の中に人がいる」などと言う幻視を起こしたり、寝ているときに急に大声を出したりする「レビー小体型認知症」。患者は国内で50万人以上と推定されている。アルツハイマー型認知症やうつ病などと診断されることが多く、その場合、治療薬によって症状が悪化してしまうことがある。ただし、適切な診断・治療を受ければ、症状の改善や進行を遅らせることが可能。薬による治療や幻視を減らす対策について伝える。
講師
かわさき記念病院副院長…長濱康弘,
キャスター
黒沢保裕,岩田まこ都
レビー小体型認知症(レビーしょうたいがたにんちしょう、英: Dementia with Lewy Bodies; DLB)は1995年の第1回国際ワークショップで提案された新しい変性性認知症のひとつである。日本の小阪憲司らが提唱したびまん性レビー小体病を基本としている。日本ではアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と並び三大認知症と呼ばれている。進行性の認知機能障害に加えて、幻視症状とパーキンソン症候群を示す変性性認知症である。
患者は、運動のスロー化、手足の震え、幻視、睡眠障害、失神、バランス失調、転倒などを経験する。覚醒状態は日々変化し、はっきりしているときもあれば、短期記憶が失われている日もある。65歳以下が罹患することはまれである。
アルツハイマー型認知症(AD)と同様、DLBに根治方法はないが、理学療法などで症状を改善することはでき、長く治療薬がなかったが、2014年、ドネペジルが進行抑制作用を認められ、世界初の適応薬として認可された。
症状
レビー小体認知症では、以下の4つの症状が中核的特徴です。
- 注意や明晰さの著明な変化を伴う認知機能の変動
- 繰り返し現れる構築された具体的な幻視
- 認知機能の低下に先行することもあるレム睡眠行動異常症(RBD)
- 特発性のパーキンソニズムの以下の症状のうちひとつ以上:動作緩慢、寡動、静止時振戦、筋強剛
認知機能の動揺とは、認知機能が時間経過とともによくなったり悪くなったりを繰り返すことをいいます。頭がはっきりしているときと、していないときの差が激しく、調子がいいときには通常通りの会話が成立しますが、頭の機能が鈍くなると集中力や注意力が低下することになります。
虫や人などの幻視の症状を見ることも特徴です。知らない人が隣に座っている、床に水が流れているなど、実際にありえてもおかしくはない幻視を訴えることがあります。これに関連して、見間違えなどの錯視を起こすこともあり、被害妄想や思い違いをすることもしばしばです。
2017年の臨床診断基準からは、レム睡眠行動異常症(RBD)が中核的特徴のひとつにあげられるようになりました。睡眠中に悪夢を見て大きな声で寝言を言ったり、怒ったり、暴れたりなどの行動をとることがあります。
また、パーキンソニズムを認めることがあります。具体的な運動症状としては、必須症状としての運動緩慢に加えて、寡動、筋肉が硬くなる筋強剛、安静時振戦などの症状がありますが、レビー小体型認知症はパーキンソン病と比較して安静時振戦や左右差が少ないといった特徴があります。症状が強くなると、姿勢保持障害が現れ、関節可動域の低下や歩行困難、寝たきりになることもあります。
そのほか、うつの症状が出たり、失神や便秘などの自律神経症状をみたりすることもあります。また、さまざまな睡眠障害は、アルツハイマー型認知症より高頻度に認めると報告されています。また、嚥下機能の低下から誤嚥性肺炎をきたすこともあります。
経過
レビー小体型認知症の臨床経過や予後はアルツハイマー型認知症に比べて多様である。PDやPDDではなく狭義のDLBの臨床経過は典型的には前駆期、初期、中期、後期に分かれる。早期診断を行うには器質障害があきらかではない腰痛、大腿筋肉痛、頻回の失神、就寝中の叫び声、高齢初発のうつ、幻視などの訴えがあった場合にDLBを疑い検査をすることが重要である。